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新登場!ツァイス コンパクトプライム レンズ:CP.3

カールツァイス(以下、ツァイス)のコンパクトプライムレンズシリーズが誕生したのは、いまから8年前のNAB Show 2009に遡る。当時増えつつあったHDSLRやHDデジタルシネマカメラユーザー向けに作られた、単焦点シネマレンズシリーズとして登場した初代「Compact Prime」だ(後の「CP.1」)。当時は、RED ONEやキヤノンEOS 5D Mark IIが登場し、手頃な予算での高画質な映像撮影が業界内で普及し始めてきた時期である。CP.1はPLとEFマウントに対応、35mmフルサイズセンサーをカバーし、焦点距離は18、21、25、28、35、50、85mmの7 種類。デジタルシネマカメラユーザーという、新たなユーザー層の要望に応えるシネマレンズの誕生だった。

CP.1の発売後まもなく、PLとEF 以外のマウント、つまりF、MFT(マイクロフォーサーズ)、ソニーEマウントの市場も活況になり、そこで誕生したのがユーザー自身が必要に応じてマウント交換ができるという画期的な機能、IMS交換マウントシステムを備え新たな焦点距離も加えた「Compact Prime 2 (CP.2)」である。CP.2は、2010 年のNAB Showで発表された。

CP.2はツァイスのシネマレンズ史上最も成功を収めたレンズシリーズであり、発売開始から現在まで、全世界で30,000 本以上を販売。「高品質と柔軟性の融合」というツァイスのコンセプトが広く支持された証しのレンズでもある。

そして、CP.2の登場から7年の歳月を経た、NAB Show 2017。

いよいよ全世界のシネマカメラユーザー待望の、次世代コンパクトプライムレンズ、CP.3 / CP.3 XDが発表された。

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CP.3 lens 製品写真

このCP.3シリーズの焦点距離のラインナップは、15、18、21、25、28、35、50、85、100、135mmの10 種類、マウントはPL、EF、F、E、MFTの5 種類。 CP.2の35mmフルサイズセンサー対応イメージサークルとIMS交換式マウントを継承しつつ、コーティングの改良、鏡胴の軽量・小型化、フォーカス環トルクの改善を施している。さらに同時発表のCP.3 XDシリーズでは「eXtended Data (XD)」機能を新たに加えた、まさに次世代のシネマレンズとして登場した。

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CP.3 XDレンズとARRI ALEXA Miniのセットアップ例。Ambient製Master Lokit Plusを装着している

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CP.3 XDを使った撮影の様子。カメラ横にAmbient製のMaster Lokit Plusを装着し、XDレンズから送られるメタデータをタイムコードに載せて記録できる

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ARRI Alexa Miniに装着されたCP.3 XDと、背後はCP.3

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15mmのXDバージョンとスタンダードとをマウント側から比較した写真

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CP.3 XD lens 製品写真

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PomfortのLive Gradeを使うと、オンセットでのXDレンズデータの取り込みだけでなくレンズの収差補正を確認・適用できる

新登場:ZEISS Compact Prime CP.3 / CP.3 XD
製品担当マネージャー インタビュー

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レンズ投影室でCP.3レンズのパフォーマンスを確認するクリストフ・カセナベ氏(左)とヘルムート・レンホフ氏(右)

ツァイスの最新シネマレンズシリーズ「Compact Prime CP.3」と「Compact Prime CP.3 XD」の発表にあたり、ドイツ・オーバーコッヘンにあるツァイス本社で、製品担当マネージャー、クリストフ・カセナベ氏とヘルムート・レンホフ氏に独占取材を敢行。新たなツァイスのシネマレンズの歴史の幕開けとなる、その全容をいち早くご紹介する。

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ヘルムート・レンホフ氏

CP.3レンズシリーズの概要を教えてください

ヘルムート: CP.3シリーズはこれまで高い定評を得てきた光学系、コンパクトプライムシリーズの特徴である35mmフルサイズセンサー対応イメージサークルとIMS 交換式マウントを継承しつつ、コーティングの改良、鏡胴の軽量・小型化、フォーカス環トルクの改善を施し、同時発表のCP.3 XDシリーズでは「eXtended Data (XD)」機能を新たに加えました。

シリーズの焦点距離は10種類、マウントは5種類、PLマウントレンズのみXD機能の有無をお選びいただけます。

メタデータはこれまで、Master Primeシリーズなど最上位機種でのみ読み取ることができました。CP.3 XDシリーズの登場により中規模予算作品やオーナーオペレーターの方でもレンズのメタデータを活用することが可能になります。XDシリーズで記録されるデータは焦点距離、T値、撮影距離、そしてレンズの個別描写特性とその補正内容(周辺減光および湾曲収差情報)です。これらはポストプロダクションに入る前に撮影現場のモニターで補正前後の映像を確認できます。

CP.3 XDは高解像度映像のポストプロダクションワークフローを普及、促進させ、正確なイメージキャプチャリングを必要とする作品やVFXスレート撮影を要する制作現場では大いに役に立つことでしょう。

CP.2は大きな成功を収めた製品ですが、今回なぜ斬新に設計し直す必要があったのでしょうか?

クリストフ: 我々のCP.1やCP.2が今日においても幅広く支持されているということは嬉しく、誇りに思うところではありますが、ハイエンドレンズメーカーの第一人者を自負する我々としては常に画期的な機能を開発し、ユーザーに貢献することを当然の使命と考えているのです。センサーサイズが多様化した現在、コンパクトプライムシリーズを当初から35mmフルサイズフォーマットで展開したことは正しい選択ではありましたが、UHDシネマカメラの小型化が進み、ポストプロダクションのワークフローのデジタル化が加速したことに我々は着目したのです。

つまりARRI Alexa Mini、ソニーFS7、パナソニックVaricam LT、ブラックマジックデザインURSA Miniなどの隆盛ぶりに、手持ち、ショルダーマウント、またはジンバル操作に適した軽量かつコンパクトな新たなレンズの必要性を見出したのです。

一方では撮影やポストプロダクションの現場で、ほんの数年前までは大規模予算の映画制作時のみ必要とされていた、レンズのメタデータに対する需要がますます高まっていました。そうした制作現場の環境の変化が、今回のCP.3とCP.3 XDシリーズを生み出したのです。

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クリストフ・カセナベ氏

CP.3とCP.3 XDシリーズのターゲット層に違いはありますか?

クリストフ: NAB Show 2017での発表前に、CP.3 XDを一部のレンタルハウスや制作会社に試していただく機会があり、高い評価をいただきました。彼らは日々メタデータと奮闘されている方々です。このレンズシリーズはレンズ情報を把握し修正データを当てるという、撮影前後に多大なる作業をされているカメラアシスタント、DIT、ビデオエンジニアの負担を劇的に軽くし、結果として撮影準備、現場、ポストプロダクションにかかる時間とコストを大幅に削減できます。こうした観点からもCP.3 XDはどのような高解像度映像制作案件にも活用でき、レンタル向けレンズまたは制作会社の自社レンズとしての高い需要を見込んでいます。

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(左)コーティング改良がなされたCP.3レンズのツァイスラボでのフレアテストより:CP.3 15mm T2.9
点光源に正対した場合:光の滲みが大幅に改善され、自然な再現になっている
(右)従来のCP.2を同条件で撮影した場合:CP.2 15mm T2.9
点光源に正対した場合:フレアが大きく、画面コントラストが低下している

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(左)コーティング改良がなされたCP.3レンズのツァイスラボでのフレアテストより:CP.3 15mm T2.9
点光源を画面端においた場合:レンズ構成部各面の反射が低減され、画面コントラストが大幅に向上している
(右)従来のCP.2を同条件で撮影した場合:CP.2 15mm T2.9
点光源を画面端においた場合:レンズ構成部各面での反射が大きく、被写体の像再現を妨げる大きなフレアが発生しコントラストが低下している

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(左)CP.3シリーズは小型軽量化されたおかげで、カメラバランスが取りやすくなり機動性のある撮影に適している
(右)CP.3シリーズの同時発売される専用搬送ケース

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(左)軽量化を果たしたCP.3レンズ(15mm、PLマウント、キャップ含まず)
(右)従来のCP.2レンズ(15mm、PLマウント、キャップ含まず)

そしてXD機能を持たないCP.3は、CP.2の後継機種を求めているフリーの撮影監督にぜひお使いいただきたいレンズです。CP.2とCP.3を並べてみればその差は歴然で、小型軽量、かつフォーカス環のトルクを飛躍的に改善しています。専用ケースもCP.2ケースに比べかなり軽くなっています。CP.3は撮影監督そしてアシスタントの方々の利便性を追求した結果、導き出された新シリーズなのです。

昨今では新たにシネマレンズ業界に参入するメーカーが増え、業界全体が盛り上がってきていますが、このトレンドをどうご覧になりますか?

クリストフ: ここ数年の新製品ラッシュには我々も驚いていますが、ツァイスの強みはレンズ製造における膨大な知識と経験にあります。我々はカメラレンズ業界の中でもハイエンドのアナモフィックレンズからミラーレスカメラ用の小型レンズまで、全て自社で設計・製造できる唯一のメーカーです。どのような大きさのレンズであろうと他の追随を許さない品質で製品を開発するエンジニアが多数おり、ツァイスの考える最高の精密性、コントラスト、鮮明さ、シャープネス、ボケ味を持ったレンズを作り出すことに尽力しています。

ご存知のように、この業界には数は限られてはいるものの、非常に優れたレンズメーカーが幾つか存在します。それぞれが歴史を持ち、独自の描写特徴で知られています。絵画に例えるならば、レンズメーカーとは筆職人のようなものです。我々は我々が最高だと信じる筆を作り、他社は他社が最高だと信じる筆を作りますが、最終的に筆を選ぶのは絵を描く画家です。

価格が比較的高くない新規参入レンズはほぼ全機種テストしていますが、シリーズ内で光学的または機能的に一貫性のないものも多く、ルックの統一や操作性を制限してしまう要因となります。しかしあくまでもレンズを選ぶのはユーザーです。我々はこれからもレンズを、それも美しいレンズだけを作り続けます(笑)。

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CP.3 XD lens 製品写真

今後の更なるツァイスの新製品展開について教えてください

ヘルムート: まだCP.3、CP.3XDシリーズを発表したばかりなので、まずこのレンズシリーズの反応、評価を正しく知る必要があります。ですが初めにもお話ししたように、我々はユーザーに常に新たな価値を提供すべく技術革新に努めています。今はまだお伝えできませんが、もちろん新たなプロジェクトも着々と進行中です。

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ツァイス製MTF計測器K-9でCP.3 135mm レンズのパフォーマンスを確認するクリストフ・カセナベ氏(左)とヘルムート・レンホフ氏(右)