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「亜人」 BTS Technical Notes-04

- インタビュー:VFX 荻島秀明 / 宗片純二 / 侭田日吉 -

オムニバス・ジャパン
コンテンツプロダクションセンター
VFXスーパーバイザー/コンポジットディレクター:荻島秀明
副部長/CGスーパーバイザー:宗片純二
プロデュース部 副部長 プロデューサー:侭田日吉

「亜人」の中に登場する実写と同化したIBMのCG。公開前に行われた試写では、あの押井守氏からもその仕上がりが評価されたという。本広監督がアニメーション版のIBMの3DCGデータを観て、これならば実写版もいけるかも知れない、という発想から、実写版ではアニメーション版の3DCGデータを元にCGが作られた。新たなコラボレーションが更なる映像の枠を拡げた。
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自由度の高い現場

荻島:IBMのCG制作も含めて、VFX全般を弊社が担当することになったところで、本広監督からは最初に細かい部分は各パートに任せるので自由にやって良いという指示を頂きました。それは自由度が高い分、責 任もあるのでプレッシャーでもありましたね。これだけ任せて頂ける監督さんは他にはなかなかいないと思います。同時に今回は各部門チームの方々からも自由度を与えて頂きました。我々はIBMのサイズを185~195cmの想定で考えていました。あとで合成するときに役者さんの身長とのバランスなども考えて、撮影現場では大変恐縮だったのですが、佐光さんに画を少しルーズ目に10%余裕を持って撮影してくださいと最初にお願いをしました。理由は、あとでIBMを入れたときのバランスで、こちらで画をトリミング補正したかったからです。普通なら撮影監督にCG部からこうした要求をすることは許されませんが、佐光さんはとても協力的でそれを許容して頂きました。後処理で編集と我々VFXチームでフレーミング調整することも許して頂けました。
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宗片:HDRI撮影のときでも、シーンの撮影終了ごとに「じゃあ、HDRお願いします」という声を現場で掛けて頂き、場所をあけて頂きました。こんなにCG部に協力的な現場はなかなか無かったと思います。僕が関わった作品の中でも今までで一番HDRIの撮影をさせて頂きました。おかげで後処理も非常にスムーズにできました。
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侭田:良い意味でこんなにアットホームな撮影現場は珍しかったです。トップの方がそういう姿勢ですと、下の方にも当然それが浸透します。今回は各部門が仕事を任せられたことで、部門間の結びつきも強くなり、これもやってみよう、あれも取り入れようとなり、最終的には撮影素材の量が3倍ほどありました。そこからオフラインでかなり削ったのですが、だからこそより良いものが結果として引き出せたのだと思います。その辺も監督が各パートの特徴を引き出すことに長けていた結果です。
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アニメ版CGをリメイク

宗片:制作初期からアニメーション版で使用された3DCGの基本データを頂くという話になり、それを元に今回のCGデータを作りました。元データは当然ながらアニメ調の質感だったので、そこから実写版用の質感を加えていくなどの加工を施し、計4体のIBMのCGを制作しています。
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荻島:押井守さんとは試写のときに、アニメのテイストを入れて仕上げているという部分をお褒め頂きました。アニメ用の3Dデータをいかに実写に落とし込むかが、今回の僕と宗片が目指した最大の仕事でした。IBMの印象はアニメ作品の方で一度作られているので、観客の頭には刷り込まれていて、IBMの見え方はこうだろうというのはあると思ったのですが、実写に落とし込んだときにはきっとそのテイストは成立しないだろうと。では実写にはめ込むのであればどうするか?その見え方を考えてくれたのは宗片のチームで、何十タイプも作った中からその方向性を決めました。
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宗片:結論として実写ベースの生っぽい動きだと観客も納得しないだろうという結果になりました。弊社にはアニメ制作の経験があるスタッフもいまして、彼らはアニメーションでのアクションの見せ方、コマの抜き方などを得意としております。そうした中で、動き自体はアニメテイストながらも実写独自のIBMを創り出しました。結果的に、アニメよりアニメだと評価を頂きました。
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監督の視点、現場での変化

荻島:制作中、スタッフと監督が感覚として一番大きく違っていた部分は、スタッフ側はアクション部を始め、とにかく激しい画を見せたい、VFXはもっと血を多く出したいなど、派手な演出をしたがったのですが、監督だけは、この作品は子どもが見ることを前提に、子どもが見てショッキングな画にしないで欲しいということをずっと言われていました。
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侭田:少し前までは、撮影現場の人たちとポストの人たちがくっきり分かれていたんですが、最近はポストの人たちがどんどん撮影現場に入っていく傾向にあると思います。HDRIやDITでのデイリーデータを毎日見るなど、撮影時から関わります。最終的にポストにバトンを渡されてからはかなり短い時間で仕上げなければなりませんが、実際に関わっている時間はすごく長いので、作品のクオリティーアップに繋がってきたと思います。つまり、スタッフのモチベーションの上がり方が以前とは全然違うのです。自ずと自分の作品だという意識が高まるんですね。
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