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LEICAで撮るということ

- LEICA SL でのムービー撮影 -

香田ノブヒロ / シネマトグラファー

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最近ムービーカメラとしても、にわかに話題になってきているライカのミラーレス一眼カメラ「LEICA SL」。2015年末に発売された、ライカ純正の初めての本格ムービー撮影が可能なカメラですが、その潜在性能やライカ独特のルックが映像業界でも徐々にユーザーを増やして注目を集め始めています。35mmフルサイズ、ローパスフィルターレスの2400万画素CMOSセンサーを搭載、感度ISO50〜50,000、4K 4:2:2 10bit出力可能、HDではカメラ内120P撮影まで可能。スチルとムービーを両方撮影するような現場、またルック重視で機動性も求められる現場で、LEICA SLの実力をテストしてみました。

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ライカ初の4Kムービーカメラ

LEICA SLは2400万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載したミラーレスのカメラで動画の撮影についてライカとしては初めて4Kの撮影(4096×2160/ 24P、3840×2160 30P)にも対応したカメラです。LEICA SLボディ本体とともに、レンズは現時点で、LEICA VARIO-ELMARIT-SL 24–90 mm f/2.8–4 ASPH.、LEICA APO-VARIO-ELMARIT-SL 90–280 mm f/2.8–4の2本のズームレンズと、最新のLEICA SUMMILUX-SL 50 mm f/1.4 ASPH.という新しいSLマウントのレンズ3本が存在しています。また、ほぼ全てのライカレンズがマウントアダプターを付けることにより使用可能。自分はLEICA M8というレンジファインダー機を所有していた時には50mm、75mm2本のSUMMICRONを持っていたのですが、今は手元にない状況なのでLEICA SL購入時にLEICA VARIO-ELMARIT-SL 24–90 mm f/2.8–4 ASPHを購入しました。

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魅惑のライカルック

仕事でライカを使うというのは長年「そう出来たら良いけど実際には難しいだろうな」と思っていましたが、このLEICA SLが発表されたときに、もしかして出来るのか?と思えたのが発端です。自分はムービーもスチールも撮りますが、ムービー撮影ではシネマカメラをメインに使い、一眼レフをサブ機として、またスチルカメラとして使っていました。このLEICA SL導入に際しては、思い切って一眼レフをミラーレスに置き換えて使ってみることになりました。結果から言うと自分の判断は間違ってなかったと思っています。

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10年前のLEICA M8というカメラで撮った写真を今でも見るときがありますが、やはり“LEICAの映り”がそこにあります。今見ると最近の雑誌などにあるような少し色がころんだ感じだったりカラーネガのような感じだったり。それはやはり解像度ではなく、空気感だったり奥行感だったりしますが、その辺がライカのLOOKなのかなとも言えるのです。そして、その感じのままで動画も撮りたいとずっと思っていました。

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 実際にLEICA SLで動画を撮った感想ですが、コントラストがあり、しっとりとした階調性のある画が出てくるな、という印象です。独特な色彩表現というか、海や空などの青色にも、何とも言えない色彩感を出してくるところがいかにもライカらしいというか、他のカメラにはないものを感じます。このカメラはライカのL-Log収録もできるのですが、今のところLEICA SL自体のLOOKが気に入っているので、Logは外して使っています。

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ビューファインダースタイルでムービー撮影

 LEICA SLの最も気に入っている機能はやはり120Pまでのカメラ内HS撮影が可能なことです。しかもミラーレス機で120Pの撮影ができるというのが、自分にとって実は一番のメリットです。
 いわゆる三脚を使わずにファインダーを覗きながら写真を撮っているのと同じ手持ちのスタイルでアングルを決めていける、ということです。三脚から解放される撮影は、本当に撮ってて自由で楽しく、特に今回のようなテーマの撮影ではとにかく動きながらどんどん撮っていきたい現場です。
 通常の一眼レフカメラでは、ミラーアップして背面液晶を見ながらとか外付けのモニターで確認しながらの撮影スタイルになってしまうため、こうした自由な撮影も出来なかったのですが、“ファインダーで実際の画を見ながら動画撮影できる”ことは、アングルの取りかたにも変化が出せるうえに、現場でのカット数にも大きく影響してきます。
 最近、三脚にスライダーを乗せて移動ショットを撮ったりする映像をよく見かけますが、120PのHS撮影だと手持ちでも背景を変化させるようなドリーショット風な映像も撮ることができます。
※ 今回のサンプル映像では、全て1920×1080の120Pで撮影

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品質の機動性の両立

 最近の自分の現場はシネマカメラとLEICA SLの2台体制で臨む現場が増えてきています。たとえばあるファッション系の撮影では、ディレクターからのオーダーでキヤノンのEOS C300をメインに持ち込む現場だったのですが、僕はLEICA SLを首から下げて手持ちでHSも撮影しておきましょうと提案、結果的には2台体制で回すことになりました。EOS C300に一脚を付け、LEICA SLは手持ちの機動力でカット数も稼ぐことができました。出来上がった完パケを見ると、HS撮影のLEICAの画が効果的に採用されていました。Canon Log収録のEOS C300の画との画合わせについても、カラーグレーディングによってうまく馴染んでいる、という印象でした。

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 またLEICA SLのファインダーが本当に明るく良く見えることも大いに現場で活躍できる理由です。独自設計の専用電子ファインダー“EyeResファインダー”は、他と比べて映し出される画にも品位があり、このカメラの特徴の一つでもあります。

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 レンズに関して、今実際にはLEICA VARIO-ELMARIT-SL 24–90 mm f/2.8–4 ASPHというレンズ一本でほとんどのもの撮っていますが、このレンズの描写力には素晴らしいものがあります。HS撮影なので1920(HDサイズ)で撮っているわけですが、素材を27インチクラスのモニターで確認すると、4K撮影をしたのかと疑うくらいの、解像感のある雰囲気の良い画が撮れているので、HD納品のコンテンツに関しては、今はほとんど4K撮影はしていないというのが正直なところです。今後マウントアダプターを使って色々なレンズを試したいと考えています。さらに機会があればLEICAのシネマレンズシリーズである、LEICA SUMMICRON-Cを是非使ってみたいところです。

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BELLYDANCER:BARAN