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国内初!Dolby Cinemaカラーグレーディングに対応 IMAGICA Lab. 東京映像センター 第二試写室

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高橋 修一氏(左)と松本 渉氏(右)

株式会社IMAGICA Lab. エンターテイメント事業本部 映像制作部
データイメージンググループ課長 シニアテクニカルディレクター 松本 渉 氏
デジタルシネマグループ 試写室エンジニア 高橋 修一 氏

株式会社IMAGICA Lab. は、東京・五反田にある東京映像センターの第二試写室における設備をアップグレードし、国内初のドルビーシネマに対応した機材を設置。
カラーグレーディング、DCP(デジタルシネマパッケージ)マスタリング、映写サービスが行える対応を開始した。
2020年3月6日公開の、東日本大震災の時の、福島第一原子力発電所事故の現場を映画化した「Fukushima 50」(監督:若松節朗、出演:佐藤浩市、渡辺謙 ほか)が、国内での「ドルビーシネマ」カラーグレーディングの初作品となる。 注)昨年、本誌#11で紹介した「轢き逃げ」(監督:水谷豊)のドルビーシネマ仕上げはハリウッドのVAINシアターで行われた。

導入のきっかけ

松本:フィドルビーシネマの仕上げ作業ができないかという問い合わせは3年ぐらい前からありました。
その前から弊社としては、ドルビーのサーティファイファシリティライセンスを取得していて、モニター表示のドルビービジョンの仕上げをしてきたのですが、さらにスクリーンでの作業が国内でできないかという思いがありました。
当然、国内にそのドルビーシネマのプロジェクターがなかったのですが、我々のチームは、カラーマネジメントスタッフの研究や検証とカラリストの経験とを合わせ、これまではモニターベースでスクリーンのエミュレーションをしながらいくつかの案件を進めてきました。
今回、ドルビーシネマに対応した第二試写室は、そもそもフィルム映写とDCP上映、データストリームの試写をしていたところに、ドルビーシネマの上映・グレーディング設備を導入しました。
スクリーン対応のドルビービジョン・プロジェクターとATMOSの再生に必要なスピーカーを追加する形で設置しました。

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既存の映画上映とドルビーシネマの大きな違いとは?

松本:スクリーンの基準の中で、漆黒の黒と見合ったダイナミックレンジを確認しながら色調整作業をするというのは我々にとって大きな体験でした。弊社での初のドルビーシネマ仕上げ作品が「Fukushima 50」になりますが、4Kレーザープロジェクターでのドルビーシネマの見え方は、やはり我々も初めての感覚で、これまでとは大きく違いましたね。
実際まだご覧になっている方も多くはないので、我々もぜひ多くの方に見てもらいたいという思いもあり、サービスとしては、完成した映像のDCPを劇場に行かなくても、ドルビーシネマ版として確認できる設備になっています。これから取り掛かる製作案件のテストという意味でも、実際に、弊社にドルビーシネマのプロジェクションがあるので、ご相談頂ければ積極的に対応していきたいと考えています。それと合わせて、ドルビーシネマのDCPマスタリング対応もできますので、国内制作として一貫したサービスをご提供していきます。

上映など操作方法などの違いは?

高橋:従来のプロジェクターや、DCP再生サーバーとあまり変わりませんでしたね。サウンドのATMOSは、音声素材があって、劇場のどこに配置するかという位置情報がDCPに入っており、シネマプロセッサー側で劇場の大きさに合わせて再生されます。

現状のスケジュール

松本:弊社にて4Kスクリーングレーディングができるところは、メインのグレーディングルームであるHokusai(北斎)と、この第二試写室となります。
第二試写室は、試写室としての利用に加えドルビーシネマカラーグレーディングでの対応となり、スケジュール面でお待たせしてしまうこともある状況ではありますが、随時対応させていただいております。

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新設したシステム内容

高橋:今回、この第二試写室ではDaVinci Resolveを導入しました。
ドルビーシネマのプロジェクター設置工事は1週間、ドルビーアトモス用のスピーカー工事も2回に分けて行いました。
サラウンド用にサブウーファーを設置しないといけなかったので、まず4日かけてそれを入れ、天井に6個、スクリーン側の左右の壁に1個ずつ設置するのに1週間かけました。
ドルビーアトモスに関しては、弊社にはダビングスタジオはありませんが、お持ち込いただいたドルビーアトモス作品の再生は可能です。

ドルビーシネマは、すべて4K HDRなのか?

松本:いえ、そういうわけではありません。現状上映されているものでも2K作品もあります。
2KのDCPでも、プロジェクターで4K化されて4Kのピクセル使って上映されるので、実現できるコントラストの影響もありますが、レーザー光源で4K素子を利用した映写を見るだけでもかなり色の分離が良く、シャープネスも良い印象です。
弊社のカラリストも実際に見てそのように感じる傾向が多いです。今後、既存作品をドルビーシネマにすることも増えて欲しいですし、素材の状態は大事だと思いますが、4Kしばりということはないですね。

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Fukushima 50
https://www.fukushima50.jp/

2011年3月11日 午後2時46分、 東日本大震災発生。 福島第一原発を襲う、史上最大の危機。 原発内で戦い続けた 名もなき50人の作業員たちを 海外メディアは、 “Fukushima 50″と呼んだ。

出演:佐藤浩市、渡辺謙、吉岡秀隆、安田成美 他
監督:若松節朗
原作:門田隆将
脚本:前川洋一
撮影:江原祥二
音楽:岩代太郎
配給:松竹、KADOKAWA
©2020『Fukushima 50』製作委員会