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Panasonic AG-CX350 開発チーム インタビュー ネットワークと高画質制作のハイブリッド市場へ向けた新機軸

コネクテッドソリューションズ社 メディアエンターテインメント事業部 テクノロジーセンター
鈴木 仁士、角屋 勝、須間 俊成、茅島 博英
プロフェッショナルAVマーケティング 並川 実, 前田 博

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パナソニックのAG-CX350は、従来型のハンドヘルドカムコーダーカメラの外観でありながら、実はこれまでとは大きく違う側面を持っている。
それは、IPネットワークの世界的標準規格のプロトコルとなっているNewTek社が開発したNDI(Network Device Interface)のIPプロトコルに対応した世界初のハンドヘルドカムコーダーであるところだ。
2015年、NewTek社がライブビデオ制作ワークフロー支援プロトコルとして、このNDIのSDKを無償配布したことから、世界的にもビデオのIPネットワーク配信が急速に進んだと言っても過言ではない。
放送などの従来のビデオカメラから、IPネットワークを意識したネットコンテンツ制作ツールへ。
画質面のCreativityと、ネットワークを意識したConnectivity をイメージして、CXシリーズとしたラインナップの初号機として、ビデオ機材の世界からいま新たな創造の海へ乗り出そうとしている。

4K/60P/10bit + ネットワーク対応
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商品設計部 商品設計四課 課長 鈴木仁士 氏

鈴木:AG-CX350は小型軽量(本体重量1.9kg、使用時2.3kg)な4K/10bit / 60p収録、1.0型(15メガ)MOSセンサー搭載、光学20倍・広角24.5mmのワイドズームレンズ、HDR/HLG対応などの4Kカメラとしての基本性能も魅力ですが、新しい提案として強調したいのは、今後のトレンドとしてIPネットワークの汎用プロトコルである、NDI│HXに対応したところです。
CX350でライブ配信などを行うユーザーにもワークフロー改善として新しい提案ができると考えています。

並川:NDI│HX搭載のハンドヘルド型カムコーダーとしては、CX350が世界初になります。
販売状況もおかげさまで好調ですが、その大きな要因はボディの「軽さ」、そして「ネットワーク対応」です。従来のUXシリーズから新しく4K/60P/10bitのシリーズというところで新たなCXというラインナップにしました。基本のカメラ機能としては既存のAG-UX180の進化版で、光学系は変わっていませんが、新開発の1インチセンサーによって画質が大きく向上しています。また、新開発の映像処理エンジンによって、小型軽量ながら4K/10bit / 60p収録と高速ネットワークに対応しています。最初の製品勉強会でもわざわざNDIを繋ぎたいからという方もいらして、ネットワークテストもその場でされていました。これまでお付き合いのなかったようなユーザー層からもご注目頂いております。

須間:NDIへの対応は、最初に北米からの要望がありました。
特にeスポーツの業界ではネットワーク化が進んでおり、そのライブ配信の現場からNDIを搭載したカメラができないか?という声がCX350開発のきっかけになりました。
NDIはイベント関連などミドルレンジのユーザーが多いのですが、規模が小さい分、技術の進化や浸透も早いと思います。

前田:現状、ネットワークに映像を流したいと思っているユーザーがかなりの勢いで増えてきています。
一部のユーザーではすでに仕事が飽和状態で、爆発的に広がっている状況です。
そのなかで従来型のSDIベース制作では、仕事がこれ以上こなせないというところまで来ていると思います。
実際に弊社にも国内でもネット放送をされているの企業からは、NDIベースのスタジオ立ち上げ協力のお話なども来ていますが、その解決策の一つがネットワーク化であり、その変更に伴いこれまでの撮影スタイルや仕組みを壊さず、画質をキープしながら使えるカメラ、という目的で、NDI│HX搭載のCX350が誕生したのです。
もちろん放送局などハイエンドでは、品質的にもNDIという訳にはいかず、ST2110などの標準化IPプロトコルが策定されましたので、また別のソリューションが必要ですが、まずは現在IP化が進む多くのミッド&ローレンジのユーザーに向けた製品がCX350です。

ネットワーク対応と制作用途のハイブリッドカメラ
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鈴木:これまでネットワーク系カメラでは固定リモートコントロール可能なPTZカメラが主流でしたが、我々はカムコーダーもPTZカメラも同じ部署で開発していますので、カムコーダーで培った画質面などの技術をPTZカメラへも水平展開でき、ハイエンドのPTZカメラで受け入れられています。
またPTZカメラ開発してきたネットワークのノウハウをカムコーダーへ展開ことで、クロスで相乗効果を狙っています。
またネット配信事業者など放送局ほどではない中小規模のプロダクションでは、固定カメラだけではなく、外ロケにも使用したいという需要もある中で、CX350はネットワーク対応でありながら、リモートカメラではなくカムコーダーで撮りたいという需要に応えました。
表現方法としてカムコーダーへの要求とネットワーク利用での効率化の両方ができるハイブリッドカメラという方向性の開発を進めています。
角屋:画質設計についてもVARICAMなどのシネマカメラとも技術共有しています。
16軸の独立色補正機能は絵作りとしての評価もいただいており、他社カメラとの色合わせをしたいという要望やもう少しクリエイティブな絵作りをしたいという制作向けの凝った画作りへの要望に応えたものです。

並川:考え方としては、ショルダーカメラでもハンドヘルドで、IPネットワーク対応が今後進んでいくと思います。
IPのリモート機能としては、CX ROPというソフトウェアがありタブレット端末経由で有線・無線での外部コントロールができます。
またHDRの部分でも今後想定されるライブの用途に向けて、HLGを搭載しました。
するとやはりもっとクリエイティブな絵作りをしたいという要望が上がってきます。
さらに上の画質ならばやはりV-Log搭載も考えなければ、という方向性になってきています。
この辺はCX350についても今市場からの声を聞いています。
PTZカメラのAW-UE150などはリモートカメラですが、すでにV-Logが搭載されており、CX350も今後V-Logを搭載することは検討しています。

鈴木:ここにきてOTTの浸透によって、ユーザーの画作りへの考え方も変わってきたように思います。
今までV-Log並みの性能を求めると、高額なカメラになっていましたが、これが固定のリモートカメラやこうしたハンドヘルドのカメラにも対応してくることは、新たな需要の変化があるからです。
NetflixやAmazon PrimeなどのOTTコンテンツでは、内容も上質でさらに映像画質もこれまでとはワンランク上のものが求められます。
視聴者も良い画質がわかるようになっているので画質の妥協はできないが、反して予算は限られている。
その中で高画質なコンテンツを沢山作らねばならないという状況で、その需要に合ったカメラ開発が求められていると感じています。
ネットワークでの映像配信は、日本ではまだまだという見方もありますが、トレンドとして間違いなく入ってくると思いますし、今後のネットワークの環境も5Gが整ってくればさらに拡大して需要は増えてくると考えています。
弊社としてはそこもターゲットにして、今まで通りカメラ画質や性能にはこれまで通り拘りつつ、加えてネットワークという「新しい価値」もしっかりと入れていくというのが、いまのカメラ開発の大きな考え方になっています。
この10月(2019/10)にはメジャーバージョンアップとして、AVC-Ultra P2コーデック、4K/60p HEVC 100Mbpsコーデック、音声4ch収録などに対応したファームウェアをリリースしました。特に新開発の高効率/高画質のHEVC 100Mbpsコーデックは、4K制作においても従来のHD同等のワークフローを提供し、ネットワーク5G時代には4Kでの高画質配信を実現できるものと考えています。今後もこのように時代に合わせた新しい価値をご提供できるよう、カメラ開発を進めてまいります。

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前列:左から
鈴木 仁士、並川 実
後列:左から
前田 博、茅島 博英、須間 俊成、角屋 勝

Panasonic AG-CX350
https://panasonic.biz/cns/sav/products/ag-cx350/