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Canon EOS C200

- ワンマンオペレートで4K RAW収録を!ビジネス戦略的に導入したコンパクト4Kカメラ -

田中誠士 / Fulfill シネマトグラファー

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私のキヤノンCINEMA EOSの使用歴は、発売当初にまずEOS C100を入手、その後EOS C300のUsedを追加して現在に至ります。ここ2年程度は他機種に移行していたのですが、2017年にEOS C200が発表となって、カメラ内4K/RAW収録、コンパクト、低価格と条件が揃ったことで、またCINEMA EOSシリーズへの興味が蘇ってきました。
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小型だが上位カメラに肉薄する画質

2017年6月にロサンゼルスで開催されたCineGearExpo2017で発表直後のC200の実機を触ることができ、またサンプル映像作品をパラマウントシアターの大スクリーン上映で見たわけですが、「この小型カメラでここまで撮れるのか」と感心したことを今でも鮮明に覚えています。

EOS C200の魅力は何と言ってもこの小型ボディー内部でCinema RAW Lightという4K RAW収録ができるようになったことです。これまでRAW収録を行うときは、私の場合はSONY PMW-F55にRAWレコーダーを装着して収録していましたが、スクリーン上映で見たサンプル映像はそのクオリティーに肉薄する(いや、それ以上か)と感じました。RAW収録でのワークフローはこれまで、チーム構成上、TVCMなど予算が付く一部の案件でしかできなかったが、EOS C200であればシステムサイズはより小型化され、当社的に増えてきている企業VPなどの小型案件でも利用できる。極端に言えばワンマン撮影案件ですら、積極的に使っていくことができる可能性があると思い、2018年になってから導入しました。

世界スタンダードなCINEMA EOSルック

発表当初よりC200に興味を持っていたわけですが、発売されてからしばらくは様子見をしていました。その要因というのは、ワークフロー部分、つまり編集環境という課題です。発売当時は、Raw-Liteをネイティブで扱うことができる編集環境がまだなかったということが大きな要因です。時間が経てばそのうち出てくるだろうということで待っていましたら、はじめにEDIUSが対応し、その後Davinci Resolveが対応を発表したことでようやく編集環境も追いついてきました。そのアナウンスを聞いてようやく導入する決心がついたということです。

CINEMA EOSシリーズには独特のルックがあり、独自の世界観があることが大きな特徴かと思います。時として「この映像制作の撮影ではCINEMA EOSカラーで撮りたい」と思わせる、そうした魅力がこのカメラシリーズにはあると感じるのですが、個人的にはワイドDRガンマでの撮影は好みの一つだったりします。よって、2017年度に入ってもまだ、フルHD撮影の8bit収録で良い場合もあり、その時はEOS C300を採用して企業VPを作ったこともあります。
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また例えば、当社のクライアントには世界的な外資系企業様もあり、その企業VPにおいては過去作品やこれまの海外制作での流れがCINEMA EOSで撮られている場合が多く、実質上その企業のVPはCINEMA EOSカラーでグローバル統一されている、という事例があります。そうしたクライアントの仕事では、例えばSONY製カメラを採用したとしても、ある程度世界観をCINEMA EOSカラーの方向へピクチャープロファイルをカスタマイズしてわざわざ再現するようにしています。「そのような面倒な事をせずにEOS C300で撮ればいいのでは?」ともなるわけですが、素材収録のトレンドはもはや4K収録がスタンダードとなってきていることもあり、EFレンズなどのレンズ資産もマウントアダプターで装着できることから、昨今ではSONY製カメラのPXW-FS5を積極的に使用してきました。EOS C300 MarkⅡという選択もなきにしもあらずでしたが、EOS C300 MarkⅡはそこそこ重量感もあり、その方向には私は行きませんでした。また、PXW-FS5の最大のネックはコーデックの部分です。そこにこのEOS C200が登場し、さらに4K収録ができる上に内部Cinema RAW Light収録ができるということで、興味を持たないわけがなかったのです。導入して数ヶ月ですが2018年度は企業VP系にもCinema RAW Light収録を取り入れて行きたいと思っています。

小型ボディーは武器になる

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弊社クライアントの企業VP系では、小さな案件ではドキュメンタリーに近い撮影技法が昨今増えてきており、とにかく撮影日数が多く、納品する作品数も増加傾向です。それも突発的に発生する場合も多く、ワンマン撮影になることも多々あります。その中で、PMW-F55をなんとかワンマンでも使ってやるぞ!と思い何度かやってみたこともあるのですが、それは当然ながら拷問のようでした。F55のようなカメラはチーム編成ができないかぎり使うことができないわけで、私が今一番望んでいたのはワンマン撮影でも積極的に使っていけるシネマカメラでした。

EOS C200のユーザーインターフェースはC300の流れに則り、CINEMA EOS系を使ったことがあるユーザーであれば何ら迷うことなく即座に使えると思います。個人的には、小型案件ではSONYのPXW-FS5を頻繁に使用しているのですがボディーサイズ的にはFS5を少し大きくした程度のもので、実に使いやすいと思います。このサイズのカメラ内でCinema RAW Light収録ができることが大きなメリットなわけですが、8bit 4:2:0 MP4の方の画質もビットレートが150Mbpsあるからか、そう悪くないという印象もあります。

個人的要望でいえば、MP4収録が10bit 4:2:2であれば最高!と思いますが、仕事上のことを考えれば、8bit 4:2:0 MP4でいく仕事と、色をさわる前提のワークはCinema RAW Lightで、という2択というのは実は理にかなっているのではないかと最近では思うようになってきました。どうせ色をさわるのであればCinema RAW Lightで撮っておけばいい、ということです。

Cinema RAW Light収録の場合128GBメディアで15分しか収録できないというメディア容量の問題はもちろんありますが、より大容量のCFast2.0カードもリリースされつつあります。まだまだRAW-Liteでの運用は当社としても手をつけはじめたばかりですが、2018年度中にはRAW-Liteでの制作環境構築もより具体化していけると感じています。

撮影アプリケーションが広がるEOS C200の世界

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CINEMA EOSの大きな特徴としてもう一つ、AFの存在があります。C200になって、AFは大きくなったモニターでタッチスクリーンで効くようになり、デュアルピクセルCMOS AFの恩恵によりAF精度やその動きはすでに実用域にまで成熟してきたと感じます。AFをどう使うか、そもそも使うのか、ということは考え方や美学が大きく関与するかと思いますが、私個人としては、使えるものはとにかく使ってみる派です。
AFの活用法として一番興味を持っているのは、C200を電動ジンバルにのせて運用してみたいということ。その場合、デュアルピクセルCMOS AFが本領発揮してくれるのではないかと期待しています。その用途で言えば、EVFレスのボディーのC200Bに興味が出てきます。
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電動ジンバルは現在、MoVI M10とM5を所有していますが、C200のサイズで重量ですとM10に余裕を持って載せることができます。現在は運用テスト中ですが、何度か現場投入して感触がよければ、C200Bを追加導入したいと考えています。

このパッケージングでこの価格!時代を感じる1台

EOS C200というカメラは、見た目だけではなく、実際に手に持った時に感じ取れることがあります。カメラボディーの剛性感が高くとても硬質で、リグをつける必要はあまりない、と感じさせてくれます。
そして、重心位置とボディー重量バランスが良く、塊感が強く、それが撮影していて安心感につながっているように思うのです。これは手に持ってみてはじめて分かることですので、一度手に取って感触を確かめてみれらることをお勧めます。
個人的に1点、ここは改善すべき、と思ったのはヒンジユニット(4インチLCDユニットを装着するためのブラケット)。これが大きく重いわりに使いにくいので私は、この部分だけはサードパーティーのフリクションアームに交換しています。
また、驚くのはその価格。剛性感のあるボディーを作ろうとすると必然的に高コストになるはずなのですが、EOS C200はいい作りのわりにリーズナブルです。そしてこのパフォーマンスを考えれば、価格帯としても手を出しやすく、昨年のパラマウントスタジオでの大スクリーンで見たあのクオリティーがこの価格帯のカメラで撮れてしまう、という事実が驚愕に値すると感じ、まさに恐ろしい時代になってきたなとさえ感じます。
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キヤノンEOS C200というカメラは、今の時代にあったパッケージングであり、限られたリソースの中でもより高みを目指そうとする考えのクリエイターにジャストフィットなカメラだと思いつつ、自分自身もそういう姿勢を大切に今後も活動していきたいと思います。