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Panasonic LUMIX S1H × 撮影現場 vol.5 シネマトグラファー 田中誠士(株式会社フルフィル) × LUMIX S1H ファーストインプレッション

田中さんTOP 2

Profile:1975年、兵庫県生まれ。関西大学工学部卒業後、2001年までSEとして従事。
2002年2月に独立し株式会社フルフィルを創業。
企業系マーケティング各種サービス事業の一環として、2010年頃から本格的映像制作を開始。バーチャルスタジオ設計からカメラアレンジまでをこなし、理系出身の専門性を活かした映像制作を得意とする。
理系技術メーカー、製薬関連企業、外資系企業を中心に約50社以上の顧客へ専門性の高いプロモーション映像、CM制作、イベント映像を手がける。
2015年からは自らもCinematographerとして撮影現場で活躍中。

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●食わず嫌いは損をする

個人的な話ですが、私は3年ほど前から業務用途としてライカ社のムービー機能を備えたカメラ、LEICA SL を使用していました。
そのため、Lマウントのレンズ資産を少なからず何本かすでに所有していました。
そのこともあってライカ、パナソニック、シグマによるLマウントアライアンスが2018年に発表された際には、大きな衝撃と興奮を覚えました。
その後アナウンスされた内容には、なんと、Lマウントを搭載した35mmフルフレームカメラが、ライカ以外のメーカー(パナソニック、シグマ)からもリリースされるというではありませんか。
しかも、パナソニックにおいては「LUMIX」の名でリリースされると聞いたのです。

この発表には、実はすこし斜めから観察している自分がいました。
当初、LUMIXというブランド名には自分は些かの戸惑いがあったのです。
LUMIXは民生用のブランドという認識であり、これまでGH5などの優秀なカメラをリリースしてきて、多くのプロユーザーは使用していたものの、プロの現場に耐え得るだけのボディ剛性など、プロ業務仕様というカメラとしては、自分としては正直ある種の物足りなさを感じていたことも事実でした。
これまでの変遷からも自分には民生機という先入観も強かったことから、これまではLUMIXのカメラを仕事の機材としては選んできませんでした。

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そんな中で、2019年の初頭に発表されたLUMIX S1、S1Rのスペックを見て、さらにその後、実際に発表展示会でその実機に触れてみて、その機能、画質、プロ仕様の操作性などを実感した時に、自分の中での「食わず嫌い」だったこれまでの解釈が大きく変化し、一種の確信へと変わっていきました。
これはパナソニックも本気だな、と感じたのは事実です。

2019年初夏、LUMIX S1、S1Rがリリースされとともに、まず初めにS1を購入し使い始めました。
その当時はまだV-Logオプションのリリース前で機能的にも制限はされていたものの、その出力される映像に大きな可能性を感じたのを覚えています。
Panasonic LUMIX Sシリーズへの想いが徐々に深くなっていきました。

その後まもなくして、動画機能をより充実させたLUMIX S1Hが発表になりました。
このカメラがリリースされた後、私は即座にS1Hを追加導入しました。しばらくはテストを何度か繰り返し、実践投入できるところまで勉強と準備ができたところで、昨年末ぐらいからは実際に現場へとメイン機として持ち込んで撮影を行うようになってきました。
今回はそんな実践を通してのレビューを語ってみたいと思います。

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●小規模な店舗紹介ムービーを制作

今回の制作テーマは、特にWeb用の小規模企業VPを想定した低予算な作品で、真面目なシェフが1名で切り盛りする小さなイタリアンでのインタビューによる店舗紹介ムービーです。
決して広くはない店舗で、厨房についてもワンマンオペレーションに合理化されており、三脚を立てるのも厳しい環境で、ほぼワンマンでの撮影です。
実際の撮影現場の状況は、半地下の店舗で外光はあまり入らない環境で、その不動産特性を活かしたシンプルでムーディーな空間です。
白壁と木が基調であり、この雰囲気をそのままできるかぎり活かして撮影したいと考えました。
そのような環境においては、S1Hというチョイスは今現在でのベストチョイスの1つではないかと感じています。
たくさんのポイントがありますが、その中で個人的にはこの5つに絞ってあげてみました。

・小型ボディで機動力が良いこと

・強力な手ブレ補正を有していること

・デュアルネイティブ ISO搭載でLow、High共に優れたダイナミックレンジであること

・Lマウントアライアンスの恩恵があるここと

・XLR音声入力を使えること(オプションのアダプター必要)

また、今回はロケ現場の雰囲気やシェフのお人柄をとしてディテール表現したいと考え、個人的にも好きなTiffen製ブラックプロミストフィルタARRI製マットボックスを使用しています。

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●小型ボディのシネマカメラの恩恵を享受

LUMIX S1Hの特筆点としてはまず、小型ボディという点です。
S1Hはいわゆるフルサイズミラーレス機として見れば「比較的にやや大きく重い」とよく言われるのを耳にします。
しかし私個人としては、このしっかりした強靭なボディーに好感を持っています。手に持った時のガッシリとした感覚は業務機に通じる安心感を強く感じます。
また、やや手が大きめの私にとってはS1Hのグリップはしっかりとホールドできるサイズ・形状でした。また、レンズマウント周辺の剛性もしっかりと感じ取れますので、やや重量のあるレンズを装着しても安心して運用できると思います。また、これまで私個人として使用してきた業務用のシネマカメラからすれば十分に軽い部類でした。
S1HはSDカードへの内部REC にて、6K-24P、5.9K-30P、C4K-60P、などを10bitで収録できる機能があります。
他機種では8bit収録が多い中で10bit収録を、時間無制限での長回しにも対応しているということは心強く感じます。
それでいて、ダイナミックレンジが広く、
としてもなんとも品のある豊かな質感なのです。これは一目で質の違いを感じ取れました。
本当に多彩な収録モードに対応しており、出し惜しみのない、できる限りの選択肢を提供してくれている事に好感を持ちつつ、今回の撮影では基本モードを、C4K-24P 4:2:2 10bit に設定してV-Logで収録しました。
より正確なモニタリングをするために、ATOMOS NINJA V を装着してバックアップ収録も兼ねさせ、NINJA V のHDMI-OUTからさらに17inch外部モニターを接続、特に物撮り時のモニタリングを意識しました。S1H本体にてHDMI制御をONにして、S1HでのRECボタンに連動動作させたため、撮影時のNINJA V との連動REC運用は非常にスムーズです。
特にエラーもなく、すんなりと安定運用できました。

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また、事前準備としては、専用ケージを装着して、安全にアクセサリー運用を行えるようにしました。
現在すでにいくつかのサードパーティから出されているS1H用のCAGEの中で比較して、ZACUTO製を選びビルドアップしました。
S1Hは見ての通りフルサイズミラーレスカメラ形状のボディのため、マジックアームなどのアクセサリーを自由に装着できるようにするためにはCAGEを使うのが最適です。
ここで重要なことは、小型ボディであることをスポイルしないように、できる限り専用設計のケージを選択すると共に剛性のある一体化したようなシステムとして組み上げることだと私は考えています。その上でZACUTO製ケージは理にかなった構造となっていると感じました。
そこへ16×9製のクイックリリースを介してマジックアームとマイクホルダーを装着したり外したりして運用したのですが、カメラ本体の作りも強靭で剛性感があるため、不安になることなく運用することができました。
不安なく運用できるカメラというものは、業務として運用するための最低必須条件だと思っています。
Vol.6に続く

Vol.1 シネマミラーレスカメラ、LUMIX S1Hの可能性
Vol.2 会田正裕 氏 × LUMIX S1H ファーストインプレション part1
Vol.3 会田正裕 氏 × LUMIX S1H ファーストインプレション part2
Vol.4 石坂拓郎 氏 × LUMIX S1H ファーストインプレッション
Vol.5 田中誠士 氏 × LUMIX S1H ファーストインプレッション part1
Vol.6 田中誠士 氏 × LUMIX S1H ファーストインプレッション part2
Vol.7 三本木久城 氏 × LUMIX S1H ファーストインプレッション
Vol.8 田中一成氏 × LUMIX S1H ファーストインプレッション

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