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Sony VENICE 誕生

- 現場の意見に基づいて開発された新世代シネマカメラ -

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ソニーが世界初のデジタルシネマカメラ、HDW-F900を発表したのが1999年。以後、CineAltaシリーズとして、ソニーのデジタルシネマカメラは常に進化を続けてきた。現在テレビ系コンテンツ制作の世界では、PMW-F55の普及度、稼働率は他のカメラを凌いでいる。しかしその反面、特にフィーチャーフィルム(劇場公開映画)の世界では、シネマルックが高評価のARRI ALEXA、AMIRAやREDのカメラに対してどうしても劣勢を強いられている現実もある。映画市場でも活躍できるカメラを目指し、ここ数年は様々な模索と研究開発が行われてきた。
そしてこの秋、F900から18年、F55から5年の時を経て、現在の映画市場を見据えた本格的なシネマカメラがようやく発表された。

その名は「VENICE」

ソニーの業務用カメラとしては初めて、型番ではないオリジナルの名称が付けられたこのカメラは、長年のソニーのシネマカメラの研究開発とソニーの映画界へのメッセージが詰まったカメラである。
ようやく完成したVENICEの開発秘話やそのポテンシャルについて、担当者にインタビューした。

ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社
プロフェッショナル・プロダクツ本部
企画マーケティング部門 
商品企画2部 1課 
岡橋 豊

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ー VENICEの名前の由来は?

岡橋:米ロサンゼルスにあるVENICEビーチに由来しています。映像制作の世界的中心地である西海岸で活躍するカメラとなることを期待し、お客さまに親しみをもっていただける名前にしたいと考えました。またちょうどソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのあるカルバーシティーを通っているVENICE Blvd.(ヴェニス・ブルバード)から「ハリウッドに通じる」というイメージも意識して付けました。

ー ライセンス契約によるアップグレード方式、その理由

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岡橋:2018年2月に製品発売した後、ファームウェアのVer.2を18年8月、Ver.3を19年初頭に随時リリース予定です。フルフレームとアナモフィック対応に関しては、追加オプションでのライセンス販売となります。その一番大きな理由としては、フルフレームのレンズはまだ市場に限られたセット・本数しかなく、また日本ではアナモフィックレンズをレンタルしようとすると、総数も20セット程度しかありません。現状を考えると、その部分は拡張機能としてライセンシー販売にして、現行のF55と同じ画角で撮りたいお客さまには、最初の投資費用を抑えて頂くという狙いがあります。将来的にアナモフィックレンズやフルフレームのレンズが市場に普及した際には、ウィークリー、マンスリー、パーマネントの3つのライセンス契約方法から、使い方に沿ったスタイルによって選んでいただくことができます。アクティベーションは、SDカードを使用してWeb上で登録可能です。もちろん欧米では最初からパーマネント契約も多いと考えていますが、すべてのお客さまが使わない機能を最初からカメラに同梱して本体が高額になるよりも、拡張機能についてはオプション提供として、使いたい時のみ使用料をお支払い頂く形が良いのではと考えました。

ー オーナーシップ型かレンタルハウス型か?

岡橋:市場によって異なると思います。VENICEの最大市場と考えている欧米諸国では、完全にレンタルハウス型のカメラとなるでしょう。日本ではポストプロダクションの撮影部がカメラを所有しているケースも多々あるので、オーナーシップ型のカメラになる場合もあると思います。

ー メニュー構造やインターフェースの進化

岡橋:ボタンの配置やメニュー構造については、F55で多くのお客さまからフィードバックを頂きました。VENICEのメニューオペレーションに関しては、シミュレーションシステムを用意し、どう動いたら気持ち良く操作できるかなどを、実際にお客さまにヒアリング調査した結果を反映しています。コントロールメニューは、これまでF55ではインサイド側(カメラオペレータ側)に付いていた物を、アウトサイド側(カメラアシスタント側)に配置しており、セカンドオペレータが全てのカメラオペレートがしやすい構造にしています。さらに今回もワイヤレスコントロールに追加して、F55にはなかったイーサネットコントロールI/Oもありますので、有線経由での遠隔コントロールも可能です。

ー VENICEの開発で一番力を入れた所は?

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岡橋:画質クオリティはもちろんですが、それ以上に使い勝手において、ユーザーフレンドリーなカメラを第一目標に開発を進めました。撮影現場でいかに使いやすいか、ストレスなく使っていただけるかという点に注力しています。VENICEは開発におけるコンセプトの一つとしてお客さまにとっての「リライアブル・パートナー」(信頼できる相棒)になる、という目標を掲げています。カメラのコントロールに戸惑わずに、撮影中はできる限りなにも考えることなく、自身のクリエイティビティに集中いただけることをめざしています。ユーザーインターフェース、筐体デザインなどがその思想を反映している部分です。公開されている最初のデモ映像「THE DIG」の撮影監督であるClaudio MIRANDA(クラウディオ・ミランダ)氏からも、現場での機動性の高さの一例として、このクラスのカメラにおいて、電源スイッチを入れてから撮影開始までの起動時間の短さを高くご評価いただきました。

ー デモ映像「THE DIG」ついて

岡橋:今回は映画「オブリビオン」の監督であるJoseph KOSINSKI(ジョセフ・コシンスキー)氏と、同作品の撮影監督であり、アカデミー撮影賞の受賞歴もある撮影監督、クラウディオ・ミランダ氏に撮影して頂いています。ミランダ撮影監督にはF65で「オブリビオン」を撮影して頂いた後、2、3年前にはわざわざ弊社厚木テクノロジーセンターまでお越し頂いて、多くのアドバイスを頂きました。そのご縁もあって、今回はぜひVENICEの初デモリール撮影をお願いしたいと打診したところ、ご快諾頂けたのです。撮影に使用したレンズはほぼARRI Master Anamorphicレンズで、撮影前のテストでは多くのレンズを試したのですが、最終的にはミランダ氏がこのレンズを選択されました。空撮シーンのみフジノンのHKズームレンズを使用されています。ただし作品がシネマスコープサイズなので空撮シーンは上下カットしています。実質の撮影日は4日間で、場所はLAのダウンタウンとLA近郊のランカスターという場所で、今年の8月初旬に撮影しました。主演はTaylor KITSCH(テイラー・キッチュ)さんとLilly COLLINS(リリー・コリンズ)さんを起用させていただきました。カメラ自体はまだ制限がある中での撮影でしたので、ルック含めた画質に関しては最終版という訳ではありません。撮影データはX-OCN収録、カラーグレーディングのポストプロダクションはテクニカラー社で、Baselightで行いました。カラリストのMike SOWA(マイク・ソワ)さんからのコメントでは、VENICEのスキントーンを高くご評価いただきました。
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「THE DIG」

ー VENICEがシネマ市場に浸透するためのモチベーション

岡橋:VENICEでは、フルフレームやアナモフィック撮影、レンズマウント変換など、出来る限り多くのお客さまに自分の追求したいクリエイティビティを発揮できる「土台」を提供したいと考えています。もちろんその背景には、先述の使い勝手の良さ、新開発センサー搭載という進化もあります。さらに、データ量の大きくなるRAWデータではない、X-OCNという自社開発のファイルフォーマットを一年前からPMW-F55の新記録フォーマットとしてご提案し、今回24メガピクセルのデータを収録する際にもこのファイルフォーマットとその取り扱い環境がすでにあるという点も、多くのお客さまにとってメリットをもたらすのではと期待しています。
また「THE DIG」の撮影現場では、8ポジション(0.3〜2.4の8ストップ)の光学内蔵NDフィルターが、現場でのオペレーション効率を非常に高めるとご評価いただきました。NDフィルター交換というのはカメラアシスタントにとってはこれまで死活問題で、DPの急な要求に対して、いかに短時間でND交換するかという現場作業のストレスをフリーにできたのです。このようなカメラは初めてであると、非常に現場スタッフにも喜んでいただきました。
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