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カールツァイス -オーバーコッヘン本社 探訪- 01

HOTSHOT 編集部

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レンズの聖地で見えたもの

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映像や写真、そしてカメラに携わる誰もが知るレンズメーカー、ドイツのカールツァイス。そのレンズ開発の本拠地であるオーバーコッヘン(Oberkochen)は、ドイツの商業の中心都市、フランクフルトから車で南西に約3時間ほどのところにある。日本でいえば、森に囲まれた高原地域という類似点からもちょうど長野や栃木あたりで、東京からの距離感覚も同じくよく似た自然豊かな環境だ。
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カールツァイス社は今年、創業者カール・フリードリッヒ・ツァイス生誕の1816年からちょうど200年を迎える記念すべき年を迎えている。同社の黎明期にあたっては、彼を中心に2人のキーパーソンの存在がある。
会社はいまから170年前の1846年、ドイツのイエナ(Jena)で顕微鏡メーカーとして創業。その後、エルンスト・カール・アッベの協力を得たことで大きく進歩する。イエナ大学の優れた科学者であったエルンスト・アッベとの研究で「アッベ正弦条件」、つまり光軸上でも軸外でもシャープな像を得られるレンズ公式の一つを発見。これにより、専門家達は要求される性能に基づいて、製造前にレンズの形状を決めることができるようになり、以後のレンズの製造方法は飛躍的に進化した。その後、フリードリッヒ・オットー・ショットが会社に加わり、彼の高度なガラス工学技術を取り入れることで、世界最高水準といわれる光学製品メーカーになったことは周知の事実だ。
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1888年のカール・ツァイスの死後、アッベは晩年、この会社を将来に渡って安定した存在にしたいと考え、また会社が一個人の手に渡り、個人の利益のために利用される事を危惧していた。それが「Carl Zeiss Stiftung(カールツァイス財団)」設立のきっかけとになる。財団であれば個人的な理由で会社から資金や利益を引き出すことは出来ず、また利益はさらに新製品開発のために再投資できる。アッベはカールツァイス社とショット社を設立、その両社をカールツァイス財団の傘下に置いた。現在カールツァイス財団は、オーバーコッヘンを拠点とするカールツァイスAGと、マインツに拠点を置くショットAGの唯一の株主として株式を所有する。

映像の入り口となるレンズ

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世界の映画、映像コンテンツの入り口として欠かすことのできないレンズ。
このたび、カール・ツァイス生誕200年という記念すべき年にオーバーコッヘンの本社を訪れるという、HOTSHOT創刊の最初の特集に相応しい機会を得た。
現在カールツァイスのカメラレンズは、ドイツと日本とで製造されている。シネマレンズは、イエナでガラスエレメントおよび主要機構の精密部品の予備加工を、組立と品質管理はオーバーコッへンで行われている。これは高精度少量多品種という生産体制にイエナとオーバーコッヘンの工場が最適化されているからである。いっぽうスチルカメラ用レンズは、日本の複数の製造提携先で同社の直接監督のもとで製造されている。

世界の映画人の誰もが使っているMaster Anamorphic、Master Prime、Ultra Prime、またいまや個人所有のシネマレンズとして数多く普及しているCompact PrimeならびにCompact Zoomはすべて本社工場で製造され、ここオーバーコッヘンから世界へと出荷されている。
カールツァイスがこれまで一貫して世界の映像文化を牽引してきた、その光学技術を支えるものとは何なのか? 今回本誌では、日本の映像業界メディアとしては初めてカールツァイス本社の本格的な取材をお届けする。