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オーストラリアの大手VFXスタジオ カッティングエッジ日本支社に元JCGLの渡部健司氏が参加 国内の制作態勢を強化

オーストラリアに本拠を置く、カッティングエッジ(Cutting Edge)が日本での制作態勢を強化し、本格的な国内の映像制作に乗り出す。ホンダジェット「Go, Vantage Point.」や、PS4「できないことが、できるって、最高だ。」さらに今年の年明け最初に民放キー局で流されたソフトバンクのTVCM「しばられるな。」など、話題のCMのVFXを手掛けてきた同社が、制作態勢を強化するねらいについて、エグゼクティブプロデューサーの松尾順治氏(=下写真・右)と新たにVFXスーパーバイザーに就任した渡部健司氏(=下写真・左)に聞いた。

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Cutting Edge VFXスーパーバイザー 渡部健司氏(左)、Cutting Edge エグゼクティブプロデューサー 松尾順治氏(右)

■VFX制作を幅広く展開するカッティングエッジ

カッティングエッジは、オーストラリアのCG、VFXプロダクションとして、1994年に設立。以来、TVCM、映画、ゲームトレーラー、テーマパーク用VR映像など、さまざまなジャンルの映像でVFXを制作している。

日本でもすでに、2006年から数多のTVCMのCG、VFXを手掛けている。これまでに100本近く、ハイエンドなVFX、CG制作を担当しており、ソニーPS4 TVCM「できないことが、できるって、最高だ。」(2017年)や、 ONE OK ROCK×Honda Jet TVCM「Go, Vantage Point.」(2018年)、さらには、今年の年明け最初に民放キー局で流されたソフトバンクのTVCM「しばられるな。」など、話題のCMのVFXに携わっている。

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ソニーPS4 TVCM「できないことが、できるって、最高だ。」(2017年)
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ソニーPS4 TVCM「できないことが、できるって、最高だ。」(2017年)

TV番組では、NHKスペシャルのCGシーンの制作も担当。また、いくつかの邦画のCG、VFX制作も担当しているほか、スクエアエニックスのゲームのイベントムービーの制作なども手掛けている。

VFX、CG以外でも、トヨタのプロモーションサイト「ユニバーサルストリートゲームズ」の構築、運営を担当するなど、デジタルの分野でも幅広く展開している。

■日本での展開を本格化

当初は、広告代理店出身で、現在、日本支社 エグゼクティブプロデューサーを務める松尾順治氏が、日本国内の営業展開を進め、オーストラリアのVFX、CG、ポストプロなどの人材・設備を駆使した制作で評価を高めていった。

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ONE OK ROCK×Honda Jet TVCM「Go, Vantage Point.」(2018年)
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ONE OK ROCK×Honda Jet TVCM「Go, Vantage Point.」(2018年)

そうした中で、日本での業務を拡張するため、2016年に国内に支社を設立しオーストラリアの支援を受けながら、日本支社での制作を開始。2019年2月から新たにスーパーバイザーとして渡部健司氏を招き、国内の制作態勢を強化し始めた。

松尾氏は、国内の制作態勢構築のねらいについて、次のように話す。「日本では今後、スポーツイベント、万博など大型の国際的な催しが多数あり、映像コンテンツの需要の拡大が見込める。そうした中で、オーストラリア本社の機能を生かしつつ、日本マーケットに密着した表現を提供できる形をつくっていきたいと考えた。将来的には日本ならではの特色を生かしたコンテンツを発信できるまでに育てたい」

■トータルな視点でVFXを提案

渡部氏は、日本のCGプロダクションの黎明期からJCGL、ナムコなどでTVCMや映画のCG制作を手掛けてきた経験を持つとともに、教育者として、CG、VFXの人材を業界に送り込んで来た。今回の渡部氏の起用により、そうした経験・知見とネットワークを生かして国際的な競争力を持ったプロダクションを構築していく。

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トヨタのプロモーションサイト「ユニバーサルストリートゲームズ」
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トヨタのプロモーションサイト「ユニバーサルストリートゲームズ」

渡部氏は、カッティングエッジ本社の強みについて、「ワンストップでプロジェクトができる点にある」話す。「CG、VFXのみでなく、撮影、編集、グレーディングなども含め、すべてを一貫して制作できる。 CGをつくる中で、ポストプロが併設していることで、途中段階でのオンラインとCGのやりとり、試行錯誤をできる。最終的にルックを高めることにつながっている」と説明する。

そうした中で、日本ならではの制作態勢をどのように構築するのか。また、オーストラリアのリソースとの連携はどのように進めるのか。

「VFXをトータルで考えられるプロダクションを目指したい。VFXは広義ではCGIに加え、モーションコントロールカメラや、ミニチュア、アニマトロニクス、特殊メイク、マットペイントなど幅広い分野にわたる。デジタル技術とこうしたアナログの技術を組み合わせたトータルソリューションを提案していけることが重要。幅広いネットワークを活かし、全体のプロデュース、スーパーバイズにもっていきたい」

渡部氏は、カッティングエッジでの業務と並行して、2019年度以降も大学で教鞭を執る。CG、VFXの業界を目指す若手の教育・育成と、プロダクション業務の両立の中で、新たな構想も計画中という。「教育と産業がコラボできる、ワークショップのようなスタイルを検討している。学生には、ツールの使い方だけでなく、トータルな視野で制作に携わる体験をさせるとともに、プロダクションとして若いアイデアを取り込む機会にできれば」(渡部氏)と話す。