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「フィルムETERNA」と「フィルムシミュレーションETERNA」

富士フイルムの映画用フィルム「ETERNA」のネーミングの由来は”eternal”、つまり「永遠の、永久の、不屈の」という意味が込められている。

2018年、映像制作を取り巻く最新デジタル機器の進化は恐ろしいほどに早く、いま新しいと感じている機材や技術はあっという間に古い物になってしまう。
その中で、ハリウッドを筆頭に撮影をフィルムで行う作品が、メジャー作品を含め一定数存在している。その大きな理由の一つが、フィルムは「古くない」ということだ。
100年以上に及ぶ映画の歴史の中で培われてきたフィルムを使った映画撮影。現代のデジタルシネマはそのクオリティーを目標に発展してきた。そしていつか追いつき、その経過の上にデジタル撮影が発展するかの構図に見えた。しかし、いつの頃からか、フィルムとデジタルを比較する声は小さくなってきた。
フィルムでの撮影は最新ではないが、デジタルに比べ「古くならない」という部分で、いつまでも新しいと感じるのである。ETERNAの永遠性の意味するところは、すなわちその作品の永遠性という意味であろうと思うが、技術面からも表現の優位性について学ぶことは多く、フィルムの存在は、未だ映像制作において重要な存在であり、ETERNAという響きに敬意さえ感じてしまう。

ETERNAの名を冠したフィルムは、撮影用のネガフィルム、上映用のポジフィルムで各数種類、D.I.プロセス(Digital Intermediate)からのフィルムレコーディング用、デュープフィルム、アーカイブ用の黒白フィルムまで多数のラインナップが存在した。
現在では、3色分解した映像を白黒フィルムで保存するアーカイブフィルムとして、ETERNA-RDSは映画の歴史の中で重要な役目を担っている。

ETERNAの特徴

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X-H1に搭載された、新しいフィルムシミュレーション「ETERNA」。
一見特徴を見出しにくいETERNAであるが、フィルムのETERNAの特徴を知ることで、動画用フィルムシミュレーションとしての優位性や可能性を感じることができる。
フィルムのETERNAは映画のデジタルプロセス化と撮影フィルムの高感度標準化(E.I.500)の潮流の中で誕生した。当時画期的であった、スーパー・ナノ・ストラクチャー・シグマ・グレイン技術による微粒子高感度化の成功など、いくつかの最新技術によって実現された。
今回X-H1に搭載されたフィルムシミュレーションとしてのETERNAは、フィルムETERNAとは違った最新のデジタル技術が用いられているが、その目標とする画のトーンは、フィルムと同じ目標を掲げており、時を経て再生したまさに双子の兄弟なのである。
Film撮影
2004年に登場したフィルムETERNAシリーズの主力は、ETERNA500(Type8573)というE.I.500の撮影用ネガフィルムであった。
E.I.500(ISO500)という感度はフィルムとしては高感度であったが、粒状性、暗部ディテール、シャープネスの向上など高感度高画質を実現させ、映画撮影の表現性や機動力の向上などに多くの影響を与えた。特に撮影監督から支持された特徴は、安定したグレーバランスと露光量に依存されない肌色特性であった。これは暗いシーンから明るいシーンまで様々な表現が求められる映像作品において、明暗差による色の変動がなく安定した色の階調が得られ、美しいフェーストーンや豊かな階調再現が作品の格調を支えている。
これと同じ目標を持って作られたフィルムシミュレーションETERNAの真価は、撮影を重ねるほどに実感できるであろう。

ETERNA誕生の背景

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1984年に富士フイルムが映画撮影用のフィルムとしてE.I.500の高感度フィルムを開発して以来、高感度フィルムへの期待が高まってきていた。フィルム撮影において高画質を望むのであれば写真でも映画でもE.I.50やE.I.100のフィルムを使うのが一般的で、標準感度としていた。
シャッター速度の自由度が少ない映画撮影においては、高感度フィルムにおける暗部領域の再現性の拡大や、照明規模や撮影時間帯の拡大による機動力、表現力のアップはとても魅力的であった。しかし、粒状性など画質面で標準感度に及ばず、E.I.500フィルムの画質向上を願う声は大きかった。
2000年代に入っても映画撮影の主力はフィルムであったが、その仕上げ行程は大きく変わろうとしていた。撮影したフィルムをスキャニングしてデジタルデータに変換、色調整やCG合成作業など画期的に進化したデジタル工程を経て、再びフィルムにレコーディングして上映する形式が主流となった。2005年にはこのワークフローが50%を超え、デジタルプロセスの際の画質向上のために、粒状性、シャープネス、階調や色再現性の向上が求められた。撮影用途およびデジタルワークフローに関わるフィルム全般に求められたクオリティーをめざし、ETERNAシリーズが誕生した。

ETERNAの設計思想

フィルムとフィルムシミュレーションでは、使われる技術こそ違えどその設計思想は同様で各々の特徴として反映されている。フィルムとデジタル両面で共有できる設計思想から、映像表現にとって大切な画質の本質が見えてくるのではないだろうか。
フィルム開発では、多くの撮影監督への調査から映像表現の重要性を聞き取り、黒と白の表現の重要性を軸に、暗部の色再現が特に重要として、アンダー側のラチチュードの拡大を図った。動画撮影では露光量の異なるシーンを連続的に捉えることが多く、さらにカットを積み重ねて作品が完成する。この際シャドーからハイライトまで安定した階調と色再現が求められる。これは現在でも同じであり、画質を構成する上でこれが最も重要と捉えて作られた、フィルムシミュレーションETERNAの優位性となっている。
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しかしフィルムとデジタルでは高感度に対する認識は違ってくる。フィルムETERNAではE.I.500は高感度であったが、現在多くのデジタルシネマカメラではE.I.500〜E.I.800はベース感度として使われており、増感特性にも優れている。富士フイルムでは高感度と粒状性の向上の両立、更にアンダー側のラチチュードの拡大の為に、スーパー・ナノ・ストラクチャー・シグマ・グレイン技術やスーパー・エフィシェント・DIRカプラー技術、スーパー・エフィシェント・カプラー技術が開発された。ハロゲン化銀に入射した光は、化学反応を経て映像の元となる一つの粒子の現像核となる潜像となる。フィルムの場合、現像処理が終了するまで不安定な状況が続く。この過程で光吸収率の向上と、光を吸収した粒子の化学反応の安定化などの技術により潜像形成効率を向上させ、高感度高画質化を達成した。
簡単に説明すれば、高感度化のためにはフィルムの感光素子であるハロゲン化銀の密度を向上させ、更に平板化させることで光吸収率を向上させるなど、トータルとして最も効率的に光を利用できるハロゲン化銀の開発を行った。

フィルムの技術開発と現在のセンサーやプロセッサーにおける、画素数とダイナミックレンジの両立や、色再現性の設計における技術開発は酷似しており、スペックでは表しきれない画質の本質、それは「人間にとって最も大切な画質」を知るヒントになるのではないだろうか。
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