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観客がアバターになって芸人と一緒に踊れる超感覚ライブエンターテインメント、NO_BORDERがスタート!

- 土屋敏男氏が仕掛ける、最先端のVR技術を使った新たなエンターテインメント -

大阪城公園内にある、クールジャパン施設、クールジャパンパークSSホールでこの夏、ユニークな映像ライブエンターテインメントが今年、7月7日~9月16日までの夏休み期間に開催されている。それがNO_BORDER(ノーボーダー)だ。

「進め!電波少年」シリーズなどを手がけてきた元日本テレビのT部長こと、土屋敏男氏が仕掛ける、最先端のVR技術を使った新たなエンターテインメントがここに誕生した。吉本興業の芸人たちとともに、国境、性別、年齢を超えた進化系のエンタメだ。

簡単に概要を説明すると、ステージ自体は約1時間のパッケージで、パントマイムに笑いの要素を取り込んだノンバーバル(非言語)スタイルが世界でウケているパフォーマー「が~まるちょば」が進行を進める。

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ステージ上でコントやパントマイムを進める中で、会場内に設置された3Dフォトスキャナーより、来場した観客の中から、選抜された40名の全身を次々と3Dスキャンニングして、各個人のアバターを次々と生成。データは瞬時にクラウドにあるサーバに転送され、3Dモデリング化される。

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全部のアバターが出来上がったショーのラストには、が~まるちょばと毎日変わるゲスト吉本芸人たち、そして目の前の来場者自身のアバターとともにスクリーン上で一緒に踊る。という、VRで老若男女国籍を問わず、観客の誰もが参加できる新しい演出のエンターテインメントに仕上がっている。

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平日は午後13:00と16:00の2回、休日は午前中の11:30の回が加わり計3回の、約1時間のステージ構成(休演日は不定期)、1ステージで40名の来場者のアバターを生成するプログラムだ。
こうしたVRのエンターテインメントはすでに各地で行われ始めているが、これまでは事前に生成されたアバター等のモデルが何かをするという演出でしかなかった。しかしNO_ BORDERでは、ショーの最中に来場者のアバターを生成し、しかも短時間でモデリングからダンス振付までを、フォトリアルなアバターが全自動でダンスするところまで動いてるシステムはあまり前例がないだろう。

 

■70台の4Kカメラで3Dスキャン

注目ポイントは、このリアルタイムでアバターを生成する技術だ。これはすでに2018年の秋、パナソニック映像主催の技術ソリューション展示会のパナ映展においても注目を集めていた。パナソニック社の3Dフォトスキャナーによる、高速のアバター作成システムは、高さ約2.4mの楕円筒で、床面の長辺側が2.5m、短辺側が2.1mの、ちょうど人間が入れるサイズ。この中に4Kカメラ×70台(5億6千万画素)が設置されており、0.01秒で全身をスキャンニング。瞬時にクラウド上にあるサーバーで、3Dモデリング化される仕組みだ。

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ガイドするスタッフがタブレット端末で毎回スキャンニング状態をチェック、現場のバックヤードにはこのスキャンデータをクラウドへアップするPCが設置されているが、これもそれほど高いスペックのマシンを設置しているわけではないという。ポイントは「アバターバンク」と呼ばれるクラウド側のシステムで、並列処理により平均50秒で1体を生成する。ここでのアバター生成・蓄積・配信の技術は、CGの新たな活用法としても今後の映像業界にも大きく貢献する予感をさせる。
その他、技術スタッフとして、AR三兄弟やライゾマティックスの斎藤精一氏など精鋭が参加していることも興味深い。

 

■アナログ&デジタルの融合パフォーマンス

ショーの進行中にはお笑い演芸という要素も多分にあり、いわゆる「客いじり」という場面も大きな要素で、そこは大阪ならではの観客側も笑いの現場に慣れている、というところも多く、ここについては他の地域では少々ハードルが高いかもしれない。NO_BORDERをこの大阪から始めたことは意味深く、大阪から話題になれば東京をはじめ国内各地や海外でも話題を呼ぶだろう。
NO_BORDERは、最先端のデジタル技術とともに、これまでお笑いやパントマイム、そこに生まれる偶然性といった、極めてアナログ的な人間味を組み合わせることで、エンタメの新しい可能性を見せている点がユニークだ。また会場では個人のアバターが数種類のダンスするコンテンツをダウンロードできる権利を販売しており、これが一つの会場でのグッズ販売のアイテムになっていることも新しい。

ちなみに、NO_BORDERでは、毎日吉本興業の芸人さんが観覧=観客と一緒にアバター化されて、一緒に踊る、という仕込みもあり、観客はそこも楽しめる。ちなみに筆者が来場した時はトレンディエンジェルの2人が観覧参加していた。会場内では写真も動画も撮影自由で、芸人たちも喜んで撮影に応じてくれる。観客がそこからSNS等で拡散してくれる展開を想定としたマーケット戦略になっているようだ。VR技術もこのような形に昇華してこそ、ビジネス的にも生きてくる部分も大きいと思われる。

個人的には、観客一体型のショーとしても楽しめ、しかも年齢や性別、国籍を問わないノンバーバルで誰でもわかる演出、そして最先端という意味では、米ラスベガスで行われているようなシルク・ドゥ・ソレイユやブルーマンショーなどにも近いものを感じた。

自分のアバターが自分のできないような動きをすることで、自分の子供の活躍を見るのに近い、ある種これまで味わったことのないような不思議な親近感を、誰もが持つことができる。このプロデュースを手掛けた土屋氏も、これがNO_BORDER=本当に国境を越えて、大阪から世界的なエンターテインメントコンテンツとして進展することを望んでいると語っていた。

とにかくNO_BORDERの面白さ、凄さは、実際に体験してみないとわからないので、まずはこの夏、現場で体感していただきたい。

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(右=土屋氏、左=筆者)

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NO_BORDER
2019年7月7日~9月16日
大阪城公園内 クールジャパンパーク SSホール
大人3,500円、子供2,000円
https://noborder-earth.com

企画・総合演出:土屋敏男
企画協力・映像:面白法人カヤック、AR三兄弟
テーマソング:森大輔
ダンス振付:TOMO、KENZO(DA PUMP)
アートディレクション:佐野研二郎
クレイ造形:伊藤有壱
スペシャルサンクス:齋藤精一(ライゾマティクス)
技術協力:パナソニック株式会社

主催・制作:株式会社よしもとクリエイティブエージェンシー