JP EN

EVA1で現実的になった IR 撮影

監督· 撮影監督 貫井勇志

UP

issue012_column02_body001

昨年公開され、その後世界からも注目を浴びる、AU-EVA1による赤外線撮影作品[palette]。監督·撮影監督を務めた、貫井勇志氏によるIR撮影作品[palette]についてのインタビューです。

 

issue012_column02_body002

[palette]という作品は、生まれながらにして他人とは違う色彩感覚を持つ女性の物語です。記憶に蘇る幼少期の演出部分で主にIR撮影のカットを使っています。

issue012_column02_body003

この主人公だけが見る事の出来る独自の色彩世界シーンを表現するためにはIR撮影が必要でした。AU-EVA1では、メニューからのワンタッチでIR撮影と通常撮影を即座に切り替えられるおかげで、IR用改造カメラと通常カメラの2台を用意する事もなく大変にスムースにロケを行え、予算面でも助かっています。

issue012_column02_body004

屋外でのIR撮影は当然の事ながら、その都度の太陽光の赤外線量に大きく影響されます。

ロケ当日に天候や時間帯などの影響でIR撮影に不都合な状況に追い込まれても、即通常のシーン撮影に切り替える事が出来るのは全体スケジュール的にも大きなメリットなのです。

issue012_column02_body005

[ palette ]におけるIR撮影

issue012_column02_body006

しかしながら「ただIR撮影をしただけ」では、映像作品としてのムードやルックを創り出すことにはなりません。IR撮影そのものが目的ではなく、心情やストーリーをビジュアル的に伝えられる画を撮ることが目的です。

こうした考えに則ってIR撮影を行おうとすると、その難易度はかなり上がります。別な言い方をすれば、それは「やりがいのあるクリエイティブな作業」になってくるのです。

issue012_column02_body007

[ palette ]のIR撮影においても、いかに「イメージした画」に近づけられるかが最大の課題でした。撮影する被写体の素材、撮影する時間帯、通常ライトとIRライトのMIXバランス等々のテストを何度も繰り返し行ないました。

IRライトに関してですが、日本では市場に出回っているのが、せいぜいセキュリティカメラ用小型赤外線ライトくらいしか無いのが現状です。もちろんIRライティングをしなくてもIR撮影は可能ですが、[ palette ]においては出来うる限り「イメージした画」に近づけたかった為、撮影チーム自作のIRライトを準備しました。IR画像にありがちな遠近感の無くなった画にしたく無かったからです。

issue012_column02_body009

また、撮影現場で注意しなくてはならなかったことも色々とありますが、一番に言える事はまずは今までの感覚を捨て去ることです。見た目や露出計で明るいとか暗いとかを判断してきた事が通用しません。何色の物が何色に写るという事も一概に言えません。ですからこれからIR撮影を試みようとするクリエイターは、初心に戻り、好奇心を持って研究や発見、テストを行うべきでしょう。シーケンシャルアートとしての映像においては、条件の違う日に撮影されたショットがいかに繋がりの良いルックに成り得るのかはとても大切な要素ですから。

issue012_column02_body008

AU-EVA1のようなIR

issue012_column02_body010

撮影可能なムービーカメラの登場により、今までに無い映像表現の領域が大きく広がったと思います。ミュージックビデオや実験映像などとは相性が良いのはもちろんですが、ドラマ作品においても「一体どのように撮影したのだろう?」となること間違いありません。

issue012_column02_body011

なぜって?IR撮影とは「目に見えない光を操って作り出す映像世界」だから。

issue012_column02_body012