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ゆーこのすくりぷとーく

- スクリプターの特殊能力?! -

本図木綿子

UP

スクリプターの特殊能力?!

監督の隣にいると、監督の言いたいこと、感じていることが、たとえ言葉がなくとも分かることがある。
以前はテストや本番の後で、監督が助監督に修正点を伝えたにも関わらず伝わっていなかった時に、なぜなのか不思議に思ったものだ。他のスクリプターと話してもそこを察することが出来ないスタッフの愚痴を言っていたりしたが、最近になってこれはスクリプターの特殊能力だと気付いた。しかしこれは超能力的なものではなく、スクリプターの仕事環境で培われる能力だと思う。

呼吸合わせのタイミング

スクリプターは常に監督の隣にいて監督からの指示を受けるが、こちらから質問することも多い。セリフが違った場合でも修正するかどうか、繋がりが悪かった場合も撮り直すかカット割りを変えるか、芝居が変わったけど問題ないか。他の部署からの相談を監督に伝えることもある。
しかし監督も考えることが多い。いま撮っているカットのことだけでなく、キャラクターの性格づけや別のシーンのこと、この作品の全体イメージ。色々なことを考えている中で質問されても、内容が入ってこないし考えていたことを遮られて不快になるのは簡単に想像できる。
なので監督に言いたいことをどのタイミングで伝えるかはかなり気を使っている。そうすると何かを考えている時の顔が分かってくる。それを避けるタイミングで質問や提案をして行くうちに、呼吸の合わせ方がわかってくる。
撮影が進み芝居などに修正点を出す内容を聞いて好き嫌いを知る。そうすると本番中「これはもう一回やるな」と分かる時が出てくる。そして想像通りの修正点が出てくる。「カット」の声の口調でもNGかOKか想像ができる。例えば1時間のドラマでも、およそ400~500カットは撮っている。それがテストと本番一回ずつだとしても、総カット数は1000回近く聞くことになるので、感覚でわかってくるのも当然だ。
何回も一緒に仕事をしている監督なら、カットをかけた後「〇〇修正して来ましょうか?」とカットをかけた瞬間に言えることもある。キャリアを積んでいけば監督のイメージを会話することなく分かるスクリプターもいる。「あの組はスクリプターが監督みたいだった」ということも聞くが、そのスクリプターが監督と長年やって来て、監督も言いたいことをスクリプターが言ってくれる事に安心しているのだろう。

重要なのは「嫌い」を知ること

まだキャリアが浅い時、監督のとなりで「うーん」と唸ったことがあった。理由は仕事とは関係ないことを考えていて声が漏れただけなのだが、それを監督が聞いてすごい不安がっていた。私はそんな監督の反応に驚いたら「スクリプターが悩んだら、すごい問題があるんじゃないかと思うよ」と言われた。監督にとってスクリプターの影響力が大きいことに気づくとともに、スクリプターが監督の感覚を分かっている事に監督も気づいているのだなと感じた一瞬だ。
人間的な相性が合い、話しやすくて関係性が作りやすい監督もいるがそうではない監督もいる。会話をあまりしない監督で、その人の相性に合うのはどんなスクリプターか探って行くのは大変だがコツも覚えて来た。
私が初めて仕事をする監督に最初にすることは、台本で一番好きなシーンの感想を言うことだ。この反応で監督との会話の種類を決めることが多い。
重要なのは「嫌い」を知ることだ。これは避けなければならないという指標があると動きやすい。それを理解することで監督のスクリプターへの信頼が厚くなって行くのでないかと思っている。
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