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Best Breakthrough 2018

- Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K -

石川幸宏 / HOTSHOT編集長

UP

基本性能、デザイン性、価格、斬新なアイディア…どこをとっても今年最もブレイクスルーな製品は、やはりブラックマジックデザインのBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K(BMPCC4K)だろう。9月の発売以降、そもそものターゲット層であるビデオグラファーやスモールプロダクションのほかにも、放送・映画関係からも大きな注目を集めている。
このBMPCC4Kの開発にあたっては、日本のスタッフからの意見も大いに取り入れられたことも興味深い。
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ブラックマジックデザイン株式会社
テクニカルセールス&マーケティング プロダクトマーケティングマネージャー
北山 壮平

BMPCC4K開発への序章

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私はこの10月で入社2年になりますが、入社直後の2016年年末にセールスメンバーの集まりがメルボルン本社であったときに、弊社CEOのグラント・ペティに初めて会いました。そのときに僕の以前の経歴(国内大手メーカーでプロダクトデザイナーとして従事)もあったので、僕自身が考える理想のカメラに対する意見を聞いて頂くチャンスがあり、僕なりの当時の考え方を話したのです。これまでのDSLRやミラーレス一眼系のカメラを使っていた際の不満を大きく解消したい旨を伝えました。
ProEXR File Description =Attributes= cameraAperture (float): 36 cameraFNumber (float): 8 cameraFarClip (float): 1e+30 cameraFarRange (float): 1e+18 cameraFocalLength (float): 40 cameraFov (float): 13.6855 cameraNearClip (float): 0 cameraNearRange (float): 0 cameraProjection (int): 0 cameraTargetDistance (float): 2.21183 cameraTransform (m44f): [{-1, 7.64274e-15, 8.74228e-08, 1.46387e-33}, {-8.74228e-08, -8.74228e-08, -1, 0.0607741}, {0, -1, 8.74228e-08, -1.10716}, {0, 0, 0, 1}] channels (chlist) compression (compression): Zip dataWindow (box2i): [0, 0, 5999, 2999] displayWindow (box2i): [0, 0, 5999, 2999] lineOrder (lineOrder): Increasing Y name (string): "" pixelAspectRatio (float): 1 screenWindowCenter (v2f): [0, 0] screenWindowWidth (float): 1 type (string): "scanlineimage" vrayInfo/vrayrevision (string): "28079 Feb 27 2018 02:25:11" =Channels= A (half) Ambient Occlusion Output.B (half) Ambient Occlusion Output.G (half) Ambient Occlusion Output.R (half) B (half) Black Anodised Glossier Alpha.B (half) Black Anodised Glossier Alpha.G (half) Black Anodised Glossier Alpha.R (half) Black Metal Grain Alpha.B (half) Black Metal Grain Alpha.G (half) Black Metal Grain Alpha.R (half) Bloom.B (half) Bloom.G (half) Bloom.R (half) Button Black Satin Alpha.B (half) Button Black Satin Alpha.G (half) Button Black Satin Alpha.R (half) Diffuse Shading (Total) Output.B (half) Diffuse Shading (Total) Output.G (half) Diffuse Shading (Total) Output.R (half) G (half) GP (2).B (half) GP (2).G (half) GP (2).R (half) Glare.B (half) Glare.G (half) Glare.R (half) Hero Black Rubber Alpha.B (half) Hero Black Rubber Alpha.G (half) Hero Black Rubber Alpha.R (half) R (half) RGB color denoised.B (half) RGB color denoised.G (half) RGB color denoised.R (half) Reflection Shading Output.B (half) Reflection Shading Output.G (half) Reflection Shading Output.R (half) Screen Alpha.B (half) Screen Alpha.G (half) Screen Alpha.R (half) Sensor Glass Alpha.B (half) Sensor Glass Alpha.G (half) Sensor Glass Alpha.R (half) Sensor Gold Alpha.B (half) Sensor Gold Alpha.G (half) Sensor Gold Alpha.R (half) Sensor Plastic Alpha.B (half) Sensor Plastic Alpha.G (half) Sensor Plastic Alpha.R (half) Specular Shading Output.B (half) Specular Shading Output.G (half) Specular Shading Output.R (half) Surface ID Output.B (half) Surface ID Output.G (half) Surface ID Output.R (half) Z (float) atmosphere.B (half) atmosphere.G (half) atmosphere.R (half) background.B (half) background.G (half) background.R (half) defocusAmount (half) diffuseFilter.B (half) diffuseFilter.G (half) diffuseFilter.R (half) effectsResult.B (half) effectsResult.G (half) effectsResult.R (half) globalIllumination.B (half) globalIllumination.G (half) globalIllumination.R (half) lighting.B (half) lighting.G (half) lighting.R (half) noiseLevel (half) reflectionFilter.B (half) reflectionFilter.G (half) reflectionFilter.R (half) refraction.B (half) refraction.G (half) refraction.R (half) refractionFilter.B (half) refractionFilter.G (half) refractionFilter.R (half) worldNormals.X (half) worldNormals.Y (half) worldNormals.Z (half) worldPositions.X (float) worldPositions.Y (float) worldPositions.Z (float)
前職のとき、ある映像のビハインド・ザ・シーンをデジタル一眼と外部レコーダーで撮影していたのですが、その間をつなぐケーブルが断線してしまった苦い経験から、内部で最高画質が収録可能なカメラは必須という話をしました。当時の当社にはURSAはあったのですが、かなりカメラ自体が大きくなるのでボディはなるべくコンパクトがいいという提案もしましたね。ただその時点では、Pocket Cinema Cameraの後継機というような話は全く出ていませんでした。
さらに僕がそのとき提案した内容は、カメラ内部で何も制限を受けず、きちんと高画質なデータが撮れること。また動画カメラなので、VFが5インチ以上であって欲しいこと。さらにその液晶パネルのクオリティが高いこと。まずはカメラ本体のみを持ち出して、そのままムービー撮影が出来ることが重要で、その他の機能は拡張性の部分だと思いました。そして最も基本となるのは撮影された画像のルックが美しくなければ意味が無いことでした。
そこからは、たまに意見を求められるくらいでしたが、そこからたった一年半の、今年のNABSHOW 2018で、この多彩な機能を盛り込んだBMPCC4Kが発表されたことには驚きましたね。

動画機としてのデザイン

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当社は専門のデザインチームが全てのプロダクトを手がけていますが、元デザイナー視点(笑)からいえば、本当にレベルが高い人が揃っているなと感じています。初代のBlackmagic Cinema Cameraはいまでもデザイナーに人気があり、とてもカメラとは思えない形状でしたが、私も発表当時はデザイナーとして見ていたので、衝撃的にカッコ良いと思っていました。このBMPCC4Kも最初はそういうデザインを期待していましたが、良い意味で裏切られましたね。
BMPCC4Kは、最初アルミボディのモックで重たい筐体でしたが、これをカーボン材で作ることでかなり軽くなった。外装素材も僕からすれば、ファイバーの樹脂が練り込まれた素材を外装に使うあたりは、なかなか国内メーカーでは出来ないことで、日本では樹脂のよじれなどを気にして上から塗装することが多いのですが、塗装すると経年変化でやがて剥げてきます。僕はそれぞれの素材の良さがあると思いますし、このファイバー素材をそのまま外装に用いているのは非常に合理的かつ美しいと思います。少し斜めにしている背面パネルも確実に動画撮影を意識した設計ですし、ボタンの位置もシンプルかつ判りやすく、WB/シャッター/ISOの独立ボタンや、1、2、3のナンバリングだけのファンクションボタンもユーザーが迷わない設計になっています。また次の新しいオプションがあるのでは?と期待させるメニューボタンやバッテリー口のフタを取り外せる機能など、今後の進化も期待できるデザインも施されています。人気のメニュー画面のUIは、URSAのときに大きなデザインチェンジがあって、今回もこれを踏襲していますが、初めてのユーザーでも迷わないデザインは秀逸ですよね。

CEO グラント・ペティ氏の想い

JIDORI Shutter
最終的にはやはりすべてをグラント氏が決定するわけですが、いまでも自分でも撮影に行くようで、実はBMPCC4Kにもグラント自身のユーザー視点のアイディアで着いた機能もあるんです。グリップ上にあるメインのRECボタンとは別に、グリップの内側正面奥にある2つ目のRECボタンの配置は彼のアイディアで、なんと自撮り用に付けたものでした。グリップを逆に握ると判りますが、親指がちょうどRECボタン部分にくるのです。これには誰も気づかなかった。グラント自身はこれからは自撮りをかなり重要視していて、for YouTuberと言ってました。ユニークなアイディアですよね。もっとも凄かった決定ポイントはこの破格とも言える価格です。これだけ充分な機能だったら30万円くらいでもお値打ち価格だろうとチームの誰もが言ったのですが、グラントの指示は10万円で行け!でした。さすがにこれにはスタッフも驚き、WOW なぜですか?と。その理由が、初代のBMPCCが10万円なのに、4Kになって値上げするのはオカシイ、という謎の発言でした(笑)。しかしさすがコストが合わないのでなんとか15万円程度に出来ないかとなり、そこでグラントがDaVinci Resolveの正規版を付けよう!という決定をしたのです。DaVinci Resolveのコントロールパネルを買っても正規版はついて来ないのに、15万を切るBMPCC4Kを購入するとついてくるというマジックはこうして生まれました。結果的に147,800円(1295ドル)という価格になりました(2018年10月現在)。
こうした発想の根幹となっているのは、自社のホームページの会社概要ページにも書いてありますが、弊社の企業理念である「お客様の真のクリエイティビティを開花させる」という部分に起因しているのです。

さらに拡張するBMPCCワールド

BMPCC4K fix
いま撮れるフォーマットはCinema DNGとProResですが、次回のファームアップではIBCタイミングで発表したBlackmagic-RAWにも対応してくる予定です。また撮って出しなどにも対応出来るように、LUTは最大10個まで入れることができるので、LUTを当てた状態で収録できるのも魅力です。好評頂いているのが、今後始まってくるBS4K放送などの収録機材として放送業界や、劇場用映画の世界からも注目されています。このBMPCC4Kはもちろん向き不向きもあるし、誰にでも薦めるつもりもありませんが、これでまた新しい真のクリエイティビティを開花出来ることを願っています。