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One Point of View #2

- カラーグレーディングは直感的であれ! -

Kazuya HAYASHI / TECHNICAL SUPERVISOR

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Blackmagic Design から、DaVinci Resolve専用のコントロールサーフェス(コントロールパネル) 、「DaVinci Resolve Mini Panel」と「DaVinci Resolve Micro Panel」が発売されました。非常に安価で、カラーグレーディングの世界が一気に拡がりそうな気がします。この登場により、さらに映像の色というものへの新たなリテラシーが求められる時代になりそうです。まず前面部分についているトラックボールとリング。ロー、ミドル、ハイの色相とルミナンスを同時に、多角的に調整できることが、最大の利点です。これまで正直、マウスで一つ一つクリックしていくやり方では、特に初心者の上達にとって遠回りな気がしていました。それには、”Contrast is the First”という視点からの理由があります。

人間は輝度差に一番敏感といわれます。カット間でレベルが違うと、パチッと映像に没頭していた意識が途切れて、おや? っとなります。色を調整するにあたり、基本としてはじめにShadowを可能なかぎり絞り、ハイライトを可能なかぎり上げることで、最大限のコントラストをつくります。一般的には、コントラストをきれいに調整していない画では精彩感に欠け、いわゆる「眠たい」画になってしまいます。コントラストを決めることは、主となる被写体を浮き立たせ、かつ不要な部分を暗く落とす、という根本的な狙いがあります。もちろん、明るい部分を背景として、適正な露出をモチーフに与える構図もありますが。

コントラストを調整することで、
-色の濃淡が変わる
-立体感が増す
が起こります。

ハイコントラストにすると、色のりが良くなっていきます。また、丸みを帯びたものは、その表面の明暗さが際立ち、グラデーションが目立つようになるので、立体感を増していきます。つまり、コントラストを変えると色の彩度が変わっていくのです。
色を調整している中でコントラストを調整すると、それまでの色に関する調整理由が動いてしまう、という訳です。そうした理由から、コントラストを最初に調整する必要があるのです。

コントラスト・イズ・ファースト。
覚えておいてください。

そこからベースの明暗差(コントラスト)を決定し、細部のカラーグレーディングに入っていきます。

* 念のため付け加えるならば、DaVinci Resolveでは、色情報に影響を与えずに、輝度レベルだけ調整できるパラメーターがあります。便利ですね。
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さて、この作業をしたことのある人は、まずローを絞って、ミッドで引きづられた部分を上げ、ハイも上げて、という作業をマウスで、ホイール画面内のホイールを度々クリックしてきたと思います。ここで、このクリック作業の弊害が発生します。マウスだと、極端に暗くなった絵を見てしまったり、明るくなった絵を見てしまいます。
イメージした映像に近づけていくときに、この極端な移動量を見ながらイメージとの差分を埋めて、次の一手を打つわけですが、その都度、こういった記憶を頼りにバランスを取って行く方法には、ある程度の経験が必要です。

そこで今回発売されたコントロールサーフェスを使うことで、この3点間の作業が同時に出来るようになるのです。そして同時に動かすことで、イメージを見失うこと無く、圧倒的な作業効率で作業を進めていけるわけですね。この新しいパネルは、細かい作業をするときにミスタッチの心配が無い最上位の「Advanced Panel」と同等の重厚で高級感のあるトラックボールを装備しています。これは本当にお薦めです。

そして、総合的なスキルの上達のコツをもう一つ。あるモチーフをノーマルで撮ってグレーディングの練習をします。撮影時のコントラストや照明の感じで、どれだけ変化するのかを、その変化量をキチンと見て、実感として自分の中で消化しましょう。そのうちに、これだ、という感覚が生まれます。撮影した映像の光りの分布が、映像信号上どこにあるかをきちんと掴んでそれがどう見えるのか、をイメージ出来る力を身についてきます。さらにその感覚に自身の芸術性(個性)をリンクさせましょう。良いとされている映像を、作り手の狙いを再現できる最良の視聴環境で沢山見て、自分の中に溜める。少々時間が掛かりますが、感性の泉の底に沈殿した沢山の記憶から、あるとき自分の価値観が沸き上がり、蓮の花のように花開きます。

楽しむときは勿論楽しめば良いのですが、学ぶぞ!というときは、是非試してみてください。